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顔認識

顔認識は、顔の幾何学的特徴を計測し、保存済みのテンプレートと照合することで人物を識別または本人確認する生体認証技術です。顔画像は写真として保存されるのではなく数値ベクトルに変換され、登録済みベクトルとの近さがスコアとして算出されます。

顔認識はどのように動作するのか

  1. 検出:画像や映像フレームの中から顔の位置を特定します。顔を識別することとは別の課題です。
  2. 位置合わせ:検出した顔を回転・拡大縮小して標準的な位置に揃え、姿勢の違いが照合結果を左右しないようにします。
  3. テンプレート抽出:ニューラルネットワークが、揃えた顔を固定長の数値ベクトル(埋め込み、テンプレート)に変換します。
  4. 照合:テンプレートを1件の登録テンプレート(本人確認)または多数(本人識別)と比較し、類似度スコアを算出します。
  5. 判定:スコアを設定した閾値と比較し、一致、不一致、または人による確認のための候補一覧を返します。

保存されるテンプレートは写真ではなく、写真として閲覧することもできません。ネットワークが学習した計測値を並べた数値の列です。この違いはデータ保護上重要で、テンプレートのデータベースが漏えいしても、攻撃者が利用可能な顔画像を手にするわけではありません。

顔検出と顔認識の違い

顔検出は画像内のどこに顔があるかに答えます。顔認識は、それが誰の顔かに答えます。検出は処理が軽く前段にあたり、オートフォーカス、人数計測、ぼかし処理などに単独で使われます。認識には照合対象となる登録済みギャラリーが必要で、法的な義務もはるかに重くなります。

両者は測定の指標も別であり、これを混同することが、仕様書の数値が実システムを表さなくなる原因になります。検出率はフレーム内で顔をいくつ見つけたかを、認識率はそのうち何件を正しい人物と対応づけたかを表します。前者が優秀でも後者が実用に耐えない構成はあり得ますが、本人識別の運用が依拠するのは後者だけです。

顔認識はどこで使われているのか

  • 出入国管理と航空:提示された証明書類と渡航者本人を照合します。
  • 建物の入退室:扉、ゲート、フラッパーゲートでカードの代わりに使用します。
  • 監視リスト照合:交通結節点やスタジアムで、少数のリストとライブ映像を突き合わせます。
  • 端末のロック解除と決済確認:端末内の1件のテンプレートに対する本人確認です。
  • 事後の捜査:事案の発生後に録画映像から人物を検索します。

法的な評価を左右するのは、アルゴリズムよりも運用形態です。本人がその目的で提供したテンプレートとの本人確認と、登録していない通行人の本人識別とはまったく別に扱われ、前者を認めつつ後者を制限または禁止する法域が複数あります。

顔認識の精度はどのように測定するのか

顔認識システムは2つの誤り率で表され、照合閾値を変えると互いに逆方向に動きます。他人受入率(FAR、誤一致率)は別人を同一人物として誤って受け入れる割合、本人拒否率(FRR、誤不一致率)は正規の利用者を認識できない割合です。閾値を上げると前者は下がり後者は上がるため、閾値を伴わない精度の主張は、購入者が再現できる内容を何も表していません。

1:N識別では登録件数も影響します。登録者が1人増えるごとに誤一致の機会が増えるため、従業員100人の登録で機能する閾値も、10万人の監視リストに対しては異なる振る舞いをします。NISTの評価は2種類の誤りをデータセットと登録規模ごとに報告しています。NISTは特定のベンダーを推奨するものではなく、その結果は導入環境ではなくアルゴリズムを表すものです。

官公庁は顔認識をどう使っているのか

24機関中18機関2020会計年度に顔認識を利用したと回答した米国連邦機関米国政府説明責任局(GAO)報告 GAO-21-526

この調査で最も多かった用途は監視ではなく、支給端末のロック解除でした。官公庁で定着しているもう1つの用途が出入国管理です。自動化ゲートは旅行者の顔を旅券ICチップの顔写真と照合しますが、これは一般市民の本人識別ではなく、旅行者本人の関与を伴う本人確認です。捜査や監視リストでの利用は少数で、法的・手続上の要件はそこに集中します。

顔認証ソフトウェアはクラウドAPIかオンプレミスか

顔認識ソフトウェアは大きく2つの形で提供されます。クラウドAPIは画像ごとにベンダーのデータセンターへ送って照合するため、導入は早いものの判定のたびに通信が必要です。オンプレミスのソフトウェアは、検出、テンプレート抽出、照合を運用者自身のサーバーやカメラ近くの機器で実行するため、画像とテンプレートは拠点内にとどまり、オフラインでも認識が継続します。官公庁、空港、銀行は、データを拠点の外に出せないことから後者を指定することが多くあります。

よくある質問

7件の質問
顔認識と顔認証は同じものですか。

厳密には用途が異なります。顔認識は人物を識別または本人確認する技術全般を指し、顔認証は本人確認の用途を指して使われることが多い表現です。英語ではface recognitionとfacial recognitionが同義で用いられ、NISTは評価プログラム名にface recognitionを用いています。

顔認証ソフトウェアとは何ですか。

顔認証・顔認識ソフトウェアは、画像や映像から顔を検出し、それぞれを数値テンプレートに変換して登録済みテンプレートと照合するプログラムです。クラウドAPI、オンプレミスのサーバー用ソフトウェア、カメラの近くで動作する専用機器として提供され、その選択が画像とテンプレートの保管場所を決めます。

顔認識は写真を保存しますか。

適切に設計されたシステムは保存しません。顔画像は数値テンプレートに変換され、登録後に元画像は通常破棄されます。テンプレートは外見ではなく計測値を表すもので、識別可能な写真に戻すことはできないため、テンプレートのデータベースが漏えいした場合の被害は限定されます。

顔認識の精度はどの程度ですか。

精度はデータセット、照合閾値、登録件数、画質、属性グループによって変わるため、単一の数値には意味がありません。NISTは非公開データでの比較評価を公表していますが、これは特定のベンダーを推奨するものではありません。Ayonixは精度ベンチマークを公表せず、NISTの報告書と自社カメラでの実証をご案内しています。

顔認識はインターネット接続なしで動作しますか。

そのように設計された製品であれば動作します。Ayonix ATLAS AIBOXなどのオンプレミス製品は、検出、テンプレート抽出、照合をローカルのハードウェアで実行するため、インターネット障害時も認識が継続します。クラウドの顔認識APIは、照合がベンダーのデータセンターで行われるため接続が必要です。

顔認識にはどのようなカメラが必要ですか。

多くの企業向けシステムは、既存IPカメラの標準的なONVIFまたはRTSPストリームを受け入れます。機種よりも重要なのは、顔に割り当てられる画素数、設置角度、照明条件です。本人識別は、検出よりも高い解像度と正面に近い画角を必要とします。

顔認識の利用は法的に認められていますか。

法域と運用形態によります。同意に基づく入退室管理での本人確認は広く認められる一方、同意のない一般市民の本人識別は、EUのAI法で制限され、米国の複数の市条例では全面的に禁止されています。法務確認は調達の後ではなく前に行うべき事項です。

Jan Mocary — Ayonix AI 最高技術責任者

Ayonixの顔認識製品およびATLASエージェント基盤の開発を統括し、オンプレミスおよびエアギャップ環境での運用モードを担当しています。